
タイルの作り方(製造方法)を知ろう|湿式製法と乾式製法の基礎知識
タイルの製造方法には「湿式製法」と「乾式製法」の2つがあります。それぞれの製造方法について知ることで、タイルの特徴をより深く理解でき、顧客の要望に合ったタイルを適切に選べるようになります。
この記事では、タイルの作り方(製造方法)について解説します。ぜひ参考にしてみてください。
目次[非表示]
- 1.タイルの作り方|①湿式製法
- 1.1.主な特徴
- 1.2.工程
- 1.2.1.1.原料を練り土状にする
- 1.2.2.2.坏土を成形する
- 1.2.3.3.生素地を乾燥させて焼成する
- 2.タイルの作り方|②乾式製法
- 2.1.主な特徴
- 2.2.工程
- 2.2.1.1.泥しょうを作って乾燥させる
- 2.2.2.2.坏土を成形して施釉する
- 2.2.3.3.生素地を焼成する
- 3.表情や色幅が変わる!タイルの焼成工程
- 4.まとめ
タイルの作り方|①湿式製法
湿式製法とは、原料を練り土状(含水率20〜25%)にして、押出成形機で板状に押し出して成形する方法です。
主な特徴
湿式製法の特徴として挙げられるのは「原料の含水率が高い」という点です。含水率が高いと焼成した際に収縮やひずみが生じやすくなりますが、これは焼きものならではの味ともいえます。それぞれのタイルに異なる質感・表情が生まれ、唯一無二の仕上がりになります。
工程
湿式製法の工程は以下のとおりです。
1.原料を練り土状にする
原石を微粗砕し、粘土・添加物・顔料・水とともにミキサーで混ぜて素地原料を作ります。そして、完成した素地原料(坏土:はいど)を土練機にかけて、含水率が20〜25%になるよう水を添加しながら練ります。
2.坏土を成形する
坏土を真空成形機で板状に押し出して成形し、ピアノ線でタイルの成形寸法に切断します。のちの乾燥・焼成工程で10〜13%ほど収縮するため、これを見込んで成形寸法を決めることが重要です。
3.生素地を乾燥させて焼成する
成形した生素地を乾燥用の台車に積み、乾燥室の中で3〜5日間かけて70〜80°Cで完全乾燥させます。乾燥が完了したら必要に応じて釉薬を施し、トンネル窯やローラー窯で20〜40時間かけて焼成します。
なお、湿式製法で作られたタイルはその製造工程上、タイルの裏の溝がエッジ部分まであるのが特徴です。
タイルの作り方|②乾式製法
乾式製法とは、粉末にした原料(坏土)を金型に充填し、高圧でプレスして成形する方法です。
主な特徴
乾式製法の特徴として挙げられるのは「寸法精度が高い」という点です。湿式製法よりも乾燥・焼成にかける時間が短いため、収縮による影響が少なく、均一な仕上がりになります。また、すっきりとした風合いになる点も特徴のひとつですが、近年は湿式製法で生じる焼きものならではの味わいを乾式製法でも楽しめます。
工程
乾式製法の工程は以下のとおりです。
1.泥しょうを作って乾燥させる
クラッシャーなどで原石を粗砕したあと、トロンミル(ボールミル)内で水とともに約一昼夜まわしながら細摩し、泥しょうを作ります。
完成した泥しょうをフィルタープレスでしぼって脱水し、熱風の中に噴霧して乾燥させ、粒状の坏土を作ります。
2.坏土を成形して施釉する
粒状の坏土を金型に充填し、高圧でプレスして成形します。
その後、必要に応じて全面に均質な施釉が可能な「幕がけ」、またはボカシが可能な「スプレーがけ」のいずれかの方法で釉薬を施します。内装タイルは幕がけ、外装タイル・床タイル・モザイクタイルはスプレーがけで施釉するのが一般的です。
3.生素地を焼成する
成形した生素地を乾燥させたのち「トンネル窯」または「ローラー窯」で焼成します。日本ではトンネル窯が主流で、20〜40時間かけて焼成します。
世界的にはローラー窯で焼成するのが一般的で、プレス成形されたタイル素地を耐熱ローラーの上を搬送させながら焼成します。焼成時間は30分〜2時間ほどと短時間です。
表情や色幅が変わる!タイルの焼成工程
湿式製法と乾式製法、それぞれの製造方法に組み込まれている「焼成」は、タイルの表情や色幅を左右する重要な工程です。使用する窯や焼成方法には種類があるため、それぞれにどのような違いがあるか理解しておきましょう。
焼成窯の主な種類
焼成窯には主に「シャトル窯」「トンネル窯」「ローラー窯」の3つがあります。
シャトル窯
台車の上に生素地を並べて、 台車ごと窯の中に入れて焼き上げる仕組みです。
トンネル窯やローラー窯は連続して焼成しているため、焼成温度や焼成時間の調整が難しいですが、シャトル窯は台車毎に焼成条件を変えやすいことが特徴です。
トンネル窯
タイルを積んだ台車がトンネル内をゆっくり動くことで、生素地を焼き上げる仕組みです。炎が一方向に流れるためブレや滞留が少なく、一定の焼成環境が保たれることから、均一で焼きムラの少ない仕上がりになります。
ローラー窯
生素地がローラーの上を滑りながら窯の中を移動することで焼き上がる仕組みです。台車という大きな窯道具がない分、生素地に炎の熱が効率よく伝わるため、最長3時間ほどで焼き上がります。
焼成方法の種類
焼成方法には主に「酸化焼成」と「還元焼成」の2つがあります。
酸化焼成
焼成時に窯の通気をよくすることで、酸素の供給を多くする焼成方法です。釉中または素地中の酸化金属と酸素を結合させて、別の化合物に変えることで呈色させます。比較的安定した色合いに仕上がる焼き方です。
還元焼成
窯内への酸素の供給を抑えた焼成方法です。釉中または素地中の酸化金属の酸素を取り去って呈色させます。意図的に色幅(窯変調)を付けることが可能で、タイルに焼きものとしての味わいが出ます。
まとめ
この記事では、タイルの作り方(製造方法)について以下の内容を解説しました。
- タイルの製造方法には「湿式製法」と「乾式製法」がある
- 湿式製法は、原料を練り土状(含水率20〜25%)にして、押出成形機で板状に押し出して成形する方法
- 乾式製法は、粉末にした原料(坏土)を金型に充填し、高圧でプレスして成形する方法
- 焼成は、タイルの表情や色幅を左右する重要な工程
- 焼成窯には主に「シャトル窯」「トンネル窯」「ローラー窯」の3つがある
- 焼成方法には主に「酸化焼成」と「還元焼成」の2つがある
施工内容や顧客の要望に合ったタイルを選ぶためには、タイルの製造方法について知る必要があります。今回ご紹介した内容を押さえて、これからのタイル施工にぜひお役立てください。
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